乙一「夏と花火と私の死体」

読了。デビュー作の文庫版なのですが、以前読んだ「さみしさの周波数」より才気走っていて、ああこりゃ評判になるのも頷けるな、と。
まず、文体が自然。まあ、俺が最近読んだ本が京極夏彦(仰々しい)とか、栗本薫(粘着質)とかだったりするので、特に強く感じるところであります。次に、話に登場させる人や物事に無駄が少ないこと。伏線作りが上手いというか、”アレがココにこう来たか！”と感心することしきり。あとは、ホラーとまでは行きませんが、読み手を緊張させたり、弛緩させたり、その辺りも上手い。中盤辺りから、完全に共犯者の気分で読んでました。気になった点もいくつか有りましたが、期待以上に楽しめました。
気軽に読める長さもまた良い。万人にオススメできる１冊です。集英社文庫刊。
最後に付いていた解説を読んでしまったので、私の感想もそれに引きずられているような気もしますが、一応書いてみました。